ファッションとプラネタリーヘルス

「プラネタリーヘルス」という言葉を聞いたことはありますか?

エシカルジャパングループの創設パートナーの1人が最近、日本で開催されたプラネタリーヘルスに関するイベントに参加し、その使命が私たちの価値観と深く繋がっているかことに強い感銘を受けました。

これをきっかけに、私自身もこの概念について深く掘り下げてみたところ、エシカルファッションと驚くほど関連性の高い、すでに確立された分野であることを知りました。

名前だけ聞くと、理想主義的な環境運動のように聞こえるかもしれません。

ですが、プラネタリーヘルスは実際には、医学、公衆衛生、環境科学を横断して確立された学問領域です。

その基本的な考え方は単純明快です。

人間の健康は、私たちを取り巻く自然環境の健やかさに支えられているということです。

私たちは、呼吸するためのきれいな空気、安全な飲み水、体を作る栄養価の高い食べ物、そして安心して生活できる安定した気候を必要としています。

これらのシステムが損なわれると、汚染、病気、異常気象、食料不安、その他の健康への脅威という形で私たちに跳ね返ってくるのです。

「人」と「地球」は繋がった一つの課題

エシカルファッションの分野では、この業界が「人」と「地球」に与える影響についてよく語られます。

「人」に関する話題では、賃金、労働環境、安全、搾取といった点が取り上げられます。

一方、「地球」に関する議論では、二酸化炭素排出量、水使用量、化学物質、廃棄物、生物多様性などが焦点となります。

これらは別々のテーマのように感じられるかもしれません。

動物性製品の摂取を避けることに情熱を注ぐ人もいれば、有機農業やフェアトレードの製造、あるいは廃棄物の削減に注力する人もいます。

「プラネタリーヘルス」の考え方は、これらの関心事はすべて関連していることに気づかされます。

結局のところ、不健康な地球上で健康的に暮らすことはできないのです。

水が汚染されることは、単なる環境問題にとどまりません。

その水を飲んだり、体を洗ったり、食料の栽培に使ったりする人々の健康に影響を及ぼします。

有害な化学物質は、工場の中だけの問題ではありません。

それを扱うらは繊維産業の労働者や工場の近くで暮らす地域の人々、そしてその地域の生態系に影響を及ぼす可能性があります。

一部の化学物質は完成した衣類に残留することもあり、最終的にそれを着る人の体も危険にさらす場合もあるのです。

気候変動のような地球規模の問題でさえ、気温が上がることだけにとどまりません。

それは労働者の暑さによるストレスを増大させ、農業生産への影響、すでに脆弱な立場にある地域社会にさらなる圧力をかけることになります。

ファッションとプラネタリーヘルスの関係 

「プラネタリーヘルス」とは、人間の活動が地球の自然システムにどのような変化をもたらし、その変化がどのように人間の健康に影響を及ぼすかを考えるものです。

ほとんどすべての産業がプラネタリーヘルスと関連しますが、ファッションはその規模の大きさと環境負荷の大きさから特に注目されています。

ファッションは世界最大級の産業の一つであり、気候・生態系危機の主な要因の一つでもあります。

国連環境計画(UNEP)によると、ファッション産業は世界の炭素排出量の最大8%を占めているとされています。

これほど巨大な産業を改善することは、地球と人間の健康の両方を守る上で大切な要素となります。

すべての衣類は、地球から採取された資源によって成り立っています。

天然繊維には土地、水、農業が必要であり、合成繊維は化石燃料から作られます。

製造過程では、染料、化学処理、エネルギー、そして大量の水が使われます。

その後、衣類は輸送され、販売され、着用され、洗濯され、最終的には廃棄されます。

これらの影響は環境にとどまりません。

汚染された大気や水、化学物質への曝露、気候変動、そして地域社会が必要とする天然資源への圧力となって、人々に跳ね返ってくるのです。

「プラネタリーヘルス」は、製品の見た目や価格だけでなく、その背景にあるより広い物語に目を向ける理由を私たちに示してくれます。

誰がその製品を作ったのか?
どのような素材や化学物質が使われたのか?
周辺の土地や水にはどのような影響が及んだのか?
その衣服はどれくらいの期間使い続けられるのか?

これらは、環境と社会という別々の問題ではなく、同じ物語の別の側面なのです。

「健康であること」の意味を再考する

プラネタリーヘルスは、私たちに「健康であること」の意味を捉えなおすように促してくれてます。

健康は、食事や運動、医療、あるいは個人の選択だけで決まるものではありません。

私たちが呼吸する空気、飲む水、気候の安定性、働く環境のの安全性、そして自然環境の状態によっても形作られているのです。

ファッションは、このはるかに大きな全体像の中のひとつの産業に過ぎませんが、ほぼすべての人々の生活に関わっています。

私たちは皆、服を着ており、その服は世界中の農場、工場、労働者、そして生態系と繋がっています。

この視点こそが、エシカルファッションをより有意義に捉える方法となることでしょう。

それは、人々を守ることか、地球を守ることかどちらか一方の話ではありません。

どちらか一方だけを実現することはできず、その両方が結びついて初めて成り立つことなのです。

もし地球を守るということが遠い話に感じられるなら、地球の健康状態が悪くなることがあなたにどのような影響をもたらすのかを考えてみてください。

もし自分の健康を最優先事項としているなら、それは地球の健康に支えられていることを思い出してみてください。

あなたの動機が何であれ、「プラネタリーヘルス」という視点が、私たちを行動へと一歩近づけ、私たちが幸運にもその一部を成している、美しく相互につながったシステムとのつながりをより強く感じられるようになることを願っています。

 

【出典】
https://planetaryhealthalliance.org/what-is-planetary-health/

https://www.unep.org/resources/publication/sustainable-fashion-communication-strategy-2021-2024

 

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