ウールはエシカルな素材?
まだまだ寒い日が続く今、多くの人が心地よい防寒具としてウールを求めています。
ウールは何世紀にもわたってその特性によって寒さから私たちを守ってきてくれました。
しかし、ウールはエシカルな観点から見てどうなのでしょうか?
自然から生まれたものだから、エシカルな選択に違いないと考える人もいます。
その一方で、菜食主義者や動物愛護に関心のある人々にとってはウールは動物由来のため問題があるという意見もあります。
エシカルファッションにおけるほとんどの事柄と同様に、答えは白か黒かで判断できることではありません。
もっと深く考えていきましょう。
ウールのメリット: 天然、生分解性、耐久性
ウールの最大の利点のひとつは、合成繊維よりもはるかに早く生分解する天然繊維であることです。
マイクロプラスチックを環境に放出するポリエステルやアクリルとは異なり、ウールは最終的に有機物に分解されるのです。
また、ウールは長持ちすることでも知られています。
高品質なウールのセーターは、適切な手入れをすれば何十年も着ることができ、頻繁に買い替える必要がないのでファッション全体の無駄を省くことができます。
さらに、ウールは保温性が高いのに通気性があるため、多くの合成繊維よりも体温調節がしやすく、冬服には最適な素材なのです。
エシカルな面での懸念点: 動物福祉と環境への影響
ウールには多くの利点がありますが、その生産方法に目を向けるとエシカル面で懸念が生じます。主な2点を見ていきましょう。
1. 動物福祉の問題
- フライストライクとミュールジング
羊毛生産における最大の懸念事項のひとつは、「フライストライク」と呼ばれるハエやウジが羊の皮膚のひだに卵を産み付け寄生し深刻な症状が起こすことです。
幼虫が孵化すると羊の肉を食べ始め、激しい痛みや感染症を引き起こし、治療しなければ死に至ることさえあります。
これを防ぐため、一部の酪農家では「ミュールジング」と呼ばれる方法で、羊の臀部から皮膚や肉体の一部切り離し、その部分が治癒することでとハエが寄り付きにくい滑らかな部分を作るのです。
この方法はフライストライクのリスクを軽減する一方で、痛みを和らげることなく行われることが多く、動物福祉上の大きな問題となっています。
エシカルな羊毛生産者たちは、選択的繁殖や農場管理の改善といった代替方法を選択し、ミュールシングから脱却しています。
- 毛刈りと生活環境
大量生産の現場では、羊が過密状態で飼育されることがあます。
毛刈りが急がされるため、注意深く行われないとストレスや怪我につながる場合があります。
- ビーガンにとってのエシカル面での懸念
PETAのように、人間の利益のために動物を使用することは倫理に反すると主張する団体もあります。
動物由来の製品を避ける人々にとってウールは自動的にNGとなるのです。
2. 環境負荷
- 土地の劣化と過放牧
大規模な牧羊は広大な土地を必要とするため、場合によっては過放牧が起こり、土地の植生が剥奪されることになります。
これは土壌浸食、生物多様性の喪失、砂漠化につながり、生態系の回復を困難にします。
牧羊の管理が不十分な地域では、放牧地を確保するために森林伐採が行われることもあります。
- 温室効果ガスの排出
羊は反芻動物(咀嚼して飲み込んだ食物を再び口に戻して再咀嚼する)であり、消化の過程で温室効果ガスであるメタンが発生します。
ウールは生分解性で長持ちする反面、羊の飼育から排出されるメタンは気候変動の原因となります。
布地1キログラム当たりの二酸化炭素排出量を測定すると、ウールの二酸化炭素排出量は合成繊維よりも多いという調査結果もあるのです。
- ウール加工における化学汚染
ウールが収穫されると、多くの場合、洗浄、漂白、染色などの集中的な加工が施されます。
これらの処理には重金属や有毒染料を含む化学物質が使用されることがあり、適切に管理されなければ水路を汚染します。
エシカルで持続可能な代替品
ウールは好きだけど、もっとエシカルな選択肢が欲しいという方には、つぎのような選択肢があります。
- エシカル認証付きウール
RWS(Responsible Wool Standard)認証やZQメリノなど、より良い動物福祉とサスティナブルな農業を保証する認証がされたウールを選ぶ。
→Silverstick(シルバースティック)
英国を拠点とするブランド。英国産の厳選されたウールをニット帽やその他のアクセサリーに使用している。
>'MOFFAT'英国製メリノウール100% タイトリブニット ビーニー
- 再生ウール
一部のブランドは、廃棄物や環境への影響を削減するため、リサイクルされた再生ウールを使用している。
→Organic Basics(オーガニック・ベーシック)
リサイクルウールを靴下に、リサイクルカシミアをニット帽に使用している。
>リサイクルカシミア使用ビーニー
- 植物由来の代替素材
動物性繊維を避ける人には、オーガニックコットン、テンセル、ヘンプなどの素材が暖かくサスティナブルな代替品となる。
→Opera Campi(オペラ・カンピ)
イタリアのブランド。ウールと麻をブレンドし、高品質で低環境負荷の素材を生み出している。
>プレミアム麻使用 持続可能製造 冬用 FIENO LANAPAセーター
- テンセル(リヨセル)
サスティナブルな方法で調達された木材パルプから作られたテンセルは、柔らかく、吸湿発散性があり、生分解性がある。
→MUD Jeans(マッド・ジーンズ)
2024年にテンセルをデニムに導入し、リサイクルコットンやオーガニックコットンと組み合わせることで、より快適で、耐久性があり、サスティナブルな生地を実現した。
>'MAMS'オーガニックコットン使用 ストレッチテーパード STONE INDIGOデニム
ウールはエシカルでありうる〜賢く選ぼう
ウールは本質的に悪いものではありませんが、他の素材と同様、そのエシカル性は調達方法や生産方法によって異なります。
従来のウール生産にはエシカル面で懸念がありますが、認証されたエシカルウールやリサイクルウールならより責任ある選択ができます。
ウールを完全に避けたい場合は、テンセル、ヘンプ、オーガニックコットンといった植物由来の代替素材が、サスティナブルな解決策を提供します。
私たちは消費者として、衣料品がどこから来ているのかを意識し、より多くの情報を得た上で、エシカルな決断をすることができます。
認証のあるウールを選ぶにせよ、植物由来の代替品を選ぶにせよ、重要なのは私たち消費者の意識的な選択です。
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