サスティナブルな未来に向けて〜小さなアクションと大きな視点

近年、世界中でサスティナビリティがいたるところで強調されています。

プラスチック製品を削減するために紙製のストローを使ったり、布製のエコバッグを持ち歩いたり、日常生活の中で数え切れないほどの小さなアクションを起こすことが推奨されています。

こうした努力は称賛に値するものであり、長い時間をかけて積み重ねられていくものです。

しかし、その成果を客観的に見ることが大切です。

私は、マイク・バーナーズー=リー著作 “How Bad Are Bananas? The Carbon Footprint of Everything“(バナナはどれだけ悪い?あらゆるもののカーボンフットプリント)という示唆に富んだ本(10年前に読んだ本ですが、今でも真実です)に触発され、このような些細なアクションが、より大きくより影響力のあるライフスタイルの選択と比べてどうなのかを探求したいと考えました。

紙ストローVS入浴習慣

身近な例から見てみましょう。

今、ストローに注目が集まっており、プラスチック製ストローを紙製ストローに置き換えることが増えています。

使い捨てプラスチックがいたるところにある中で、なぜか哀れなストローはプラスチックの中でも悪者になってしまいました。

私たちは今、紙ストローのように漏れたり折れたりする、まったく役に立たない代替品に置き換えています。

サスティナブルな未来に向けたあらゆる運動を支持している私ではありますが、誤解を恐れずに言うと、私たちがストローにこだわっている間にもっとインパクトのあることに目を向けるべきではないでしょうか。

例えば、入浴習慣について考えてみましょう。

毎晩湯船に浸かる、水とエネルギーの使用量は毎日のシャワーをはるかに上回ります。

毎日の入浴を15分のシャワーに変えると、1日に約5797リットルの水を節約できます。

この節水によるエネルギー削減効果を考えると、1回の入浴をシャワーに変えるだけで、1万本のプラスチック製ストローを置き換えたことと同等になるのです。

エコバッグVS通勤手段の選択

もうひとつの例は、ビニール袋の代わりにエコバッグを使うことです。

毎日車で通勤している場合、車から排出される二酸化炭素はエコバッグを使うメリットをはるかに上回ります。

毎日車で通勤している人が、車から自転車や公共交通機関の利用に切り替えるのと同じ量の二酸化炭素削減を達成するためには、70万回以上エコバッグを使用する必要があります。

この比較は、より大きな環境利益を得るために、日々の交通習慣を見直すことの重要性を浮き彫りにしています。

再利用可能なカップVS空の旅

再利用可能なタンブラーや水筒を使う縁の下の力持ちたちは、ゴミを減らし、サスティナビリティを促進するために、小さいながらも重要な一歩を踏み出しています。

しかし、それはどれくらいのステップなのでしょう。

例えば、この行動を飛行機移動と比較してみましょう。

飛行機での移動は、最も二酸化炭素を消費する行為のひとつです。

東京からロサンゼルスまでの往復便は、乗客1人当たり約1,917kgCO2を排出します。

これは、なんと使い捨てのコーヒーカップを約8万回使用するのと同等なのです。

この結果は、航空機による移動が二酸化炭素排出量に与える影響の大きさを浮き彫りにし、よりサスティナブルな移動手段を検討すること、あるいは航空機を利用する回数を減らすことの重要性を示しています。

小さな努力、大きな影響

これまで綴った情報は、ネガティブな印象を与えたかもしれません。

ですが、決して日々の努力が重要でないと言いたいわけではありません。

もしあなたが、エコバッグを使ったり、プラスチックのストローを使ったりしないように努力しているのなら、その素晴らしい努力に敬意を表します。

“Individually, we are one drop. Together, we are an ocean.” 
個別では一滴の水。でも、一緒になれば海になります。

この言葉は、小さな行動が結集した時の影響力を見事に言い表しています。

私たちが挙げた事例のひとつひとつは小さく見えるかもしれないが、何千人、何百万人と積み重なれば、その影響は劇的なものとなります。

さらに、こうした努力は周りの人々のサステナビリティへ関心をかき立てることにつながり、個人の行動をはるかに超えた波及効果を生み出すものです。

より持続可能な未来に向けて、小さな一歩一歩を積み重ねていくことはとても大切なことです。

ビジネス変革の力

ここまで消費者の変化を見てきましたが、ビジネス界はどのような変化をしてきているのでしょうか。

大企業が事業運営に大きな変化を起こせば、その影響は甚大なものになります。

例えば、エネルギー消費量の削減、廃棄物の最小化、環境に優しい素材の調達など、企業が持続可能な慣行を採用すれば、環境面での恩恵は個人の努力で達成されるものよりずっと大きなものとなるでしょう。

さらに、企業の行動が業界の標準となり、より大きな規模に消費者の行動に影響を与えることができます。

次の世代が危険にさらされることのないサスティナブルな未来へと導くためには、企業がこうしたステップを踏むことが必要不可欠なのです。

環境汚染を防ぐコストは汚染者が負担するべきだとする「汚染者負担原則」は企業がサスティナビリティに貢献するためのアプローチのひとつです。

「汚染者負担原則」についてはこちらブログをご覧ください。
サスティナビリティと資本主義は共存できる?

企業がサスティナビリティに配慮することは、二酸化炭素排出量の削減に役立つのはもちろんのこと、環境責任と変革を起こす文化を世間に広げることにもつながります。

一人一人が起こす行動はもちろん重要ですが、企業が起こすアクションのパワーは大規模な環境変化を推進する上で見逃す事のできない大きな役割を果たします。

個人によるサスティナブルな小さな行動は重要で、賞賛されるべきものです。

その一方で、さらに大きな影響を与えうる点に注目することも大切です。

それは、ライフスタイルの変化や、二酸化炭素排出量の大きい部分への集中、ビジネスレベルでの大幅な変革などが挙げられるでしょう。

個人の努力と企業責任を組み合わせることで、私たちは、次世代のためによりサスティナブルな美しい地球の未来を創造することができことでしょう。

小さなアクションも、大きな変革も、全ての行動が合わさることで環境問題を解決する力になることでしょう。

 

【出典】

https://howbadarebananas.com/

https://grist.org/living/baths-vs-showers-an-eco-smackdown/

https://www.icao.int/environmental-protection/CarbonOffset/Pages/default.aspx

https://shopequo.com/blogs/blog/paper-straws-vs-plastic-straws

 

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