You Are What You Wear〜あなたはあなたが着るものでできている

あなたはどんな服を選んで、着ていますか?

洋服は私たちの日常生活において、単に体を覆うだけではありません。

それは私たちの感情、行動、認識を形成するものです。

“You are what you eat“ 「あなたはあなたの食べたものでできている」というよく知られた格言は、同様にワードローブにも当てはめることができるでしょう。

“You are what you wear“「あなたはあなたが着るものでできている」

このコンセプトは、私たちの服装の選択がもたらす心理的影響を掘り下げ、様々なスタイル、色、タイプの服装が、私たちの自己認識や世界との相互作用にどのような影響を与えるかを浮き彫りにするものです。

ドレス効果

"enclothed cognition(着衣認知理論)”という言葉をご存知ですか。

日本では「ドレス効果」という言葉でよく知られる、服装が人の心理状態やパフォーマンスに影響を与えるという考え方です。

ノースウェスタン大学の研究によると、医師用のコートを着ている被験者は、画家用のコートを着ていると思い込んでいる被験者と比較して、より正確で集中力のある作業を行ったという。

これは、私たちの服装が、その服装に込められた象徴的な意味に基づいて私たちの考え方や行動に影響を与える可能性があることを示しています。

衣服の色やスタイルもまた、私たちの気分や行動を左右する重要な役割を担っています。

赤や黄色のような明るい色はエネルギーや幸福感を連想させ、黒やグレーのような暗い色は洗練された印象や哀愁を感じさせることが多くあります。

色の心理的効果を理解することで、ワードローブをより意図的に選択し、自分の気持ちに合わせた服装をすることができますね。

服装で自信を持つ

服装によって、自信や自己肯定感を大きく高めることができます。

例えば、プロフェッショナルな服装をすることで、力強さや権威を感じられます。

制服を着た警察官や消防士が権威や勇敢さを体現しているように、制服を着ることによってその役割に見合った行動や態度になることが多いでしょう。

これは、単に外見的なものだけでなく、制服に結びついた責任や期待を内面化することでもあります。

同様に、俳優は役柄に合う服装をすることでより良く演じられることがあり、服装と心理状態との強力な結びつきを表しています。

このような服装が持つ力は、特別な環境に限ったことではありません。

仕立ての良いスーツや洗練された服を着ることで自信を持つことができ、積極的に能力を発揮できることもあるでしょう。

カジュアルな服装であっても、自分のスタイルに合っていれば、自尊心を高めることができるのです。

ファストファッションVSエシカルファッション

どんなタイプのファッションと関わるかもまた、私たちのウェルビーングに影響を与えます。

ファストファッションは、安価で回転が早いのが特徴なので使い捨て思考につながります。

また、ファストファッションの衣服は耐久性がなく、個人的な意義が乏しいため、身につけることで自分自身の価値が低く感じられることがあります。

衣服を次々と取り替え使い捨て文化を助長することは、私たちが身につける衣服に対する感謝の欠如につながり、最終的には自尊心や自分自身の捉え方に影響を与えることになるのです。

対照的に、エシカルファッションは持続可能で配慮された生産プロセスを重視しているので、着る人の誇りと責任感を育みます。

環境や社会を良くするための慣行を推進している服を選んで着ることは、自己価値を高め、ポジティブなセルフイメージを持つことにもつながります。

エシカルファッションは、上質な素材や職人技を使用することが多く、耐久性に優れ、長く着られることも特徴です。

なので、消費者は自分が身につける衣服をより大切にするので、環境負荷を減らせるのはもちろんのこと、衣服との深いつながりを感じることができます。

また、エシカルファッションはより意識的な消費を促進します。

質の高い少数精鋭のアイテムに投資することで、より厳選され意図を持ったワードローブを作ることができます。

自分が選んだワードローブが自身の価値観に合致し、社会に積極的に貢献していることを知る心理的メリットは大きく、自律性や自尊心を高めることにつながります。

服装には私たちの気分や行動に変化させる力があります。プロフェッショナルな装いは自信を高め、エシカルファッションは誇りを育みます。

対照的にファストファッションは、使い捨て助長や自己肯定感の低下につながるかもしれません。

服装の心理学は、私たちのワードローブの選択が精神状態や行動に大きな影響を与えること教えてくれる魅力的な分野です。

「ドレス効果」や、さまざまな服装のタイプがもたらす心理的効果を理解することで、私たちは自分が何を着るのかについて、より多くの情報に基づいた決定を下すことができます。

プロフェッショナルな服装で自信を高めたり、ユニフォームで帰属意識を感じたり、エシカルファッションでポジティブなセルフイメージを高めたり・・!

服装は私たちのアイデンティティや価値観の延長線上にあります。

だから、次に服を選ぶときは見た目だけでなく、それが自分がどう感じるのか、自分という人間について何を語っているかを考えてみてください。

“You are what you wear” を忘れないでほしい。


【出典】
https://www.bps.org.uk/research-digest/introducing-enclothed-cognition-how-what-we-wear-affects-how-we-think

https://fashonation.com/fashion-psychology-how-clothing-affects-our-emotions-and-behavior/

https://lushandwell.com/fashion-psychology-the-powerful-impact-of-clothing-on-confidence/