2024年 11月 30日

ドキュメンタリー「今すぐ購入：購買意欲はこうして操られる」

私は今年のブラックフライデーは、セールの熱狂に加わる代わりにNetflixで『今すぐ購入：購買意欲はこうして操られる(Buy Now: The Shopping Conspiracy) 』を観て過ごしました。

この目を見張るドキュメンタリーは、企業の利益を最大化するために人々や地球を犠牲にしてでも私たちの買物習慣がいかに綿密に操作されているかを明らかにしています。

冷ややかなAIナレーターと消費文化に対する鋭い批評を繰り広げるこのドキュメンタリーは、多くの視聴者に消費主義について考えさせるものです。

Netflixは、この重大なメッセージを世界中の何百万人もの視聴者に提供し、視聴者に過剰消費を促すシステムについて考え、自分の選択の真の代償に気づかせる機会を提供しています。

語り手としてのAIの冷ややかな役割

この映画の印象的な点のひとつは、ナレーションにAIを起用していることです。

Siriのような落ち着いた口調で、AIはまるでこの世界を支配する悪の枢軸であるかのように語ります。

その語りは企業側の買わせるための戦略を明らかにするだけではありません。

まるで、それを教えて私たちが搾取の達人になる方法を導いているかのような恐ろしさがあります。

AIはウィットに富んだ言い回しで、際限のない物欲や富、地球や人類そして人間であることの意味への感覚を害することで「勝利」へ導かれると伝えます。

それは、このような考え方がばかげたことであることを私達に気づかせ、何も考えずにそそのかされるがまま破壊の道をたどることは、私たちの人間性と私たちが共有する世界を切り捨てるものだと認識させます。

AIが教える5つのダークな教訓

このドキュメンタリーは5つのセクションで構成されており、企業が消費行動をコントロールし続けるために用いる戦略をナレーターAIが明らかにしています。

これこそが過剰消費と支配の影のメカニズムなのです。

(1) より多く売る
企業はボリュームで成功する。季節ごとのトレンドや絶え間ないアップグレードを導入することで、消費者がより多くの商品を買い続けるように促します。
ドキュメンタリーでは、目標は人々が欲しがるだけでなく、頻繁に買い換えなければならないと感じる製品を作ることだと説明する。

(2) 廃棄物を増やす
過剰生産は売れ残りにつながる。その過剰在庫の多くはブランドの独占性を維持したり、保管コストを最小限に抑えるために破棄されます。
多くのブランドにとって、このやり方はイメージを保護し、保管やリサイクルの費用や値引きよりも収益性が高い。

廃棄のもう一つの大きな要因は、計画的陳腐化です。
これは、製品がある一定期間後に故障したり、時代遅れになったりするように意図的に設計され、消費者は常に買い替えのサイクルを強いられることになる。
計画的陳腐化は明らかに環境に有害で、消費者にとっても不利益であるにもかかわらず、合法であり規制もされていません。

(3) より嘘をつく
グリーンウォッシングのような欺瞞的なマーケティング手法によって、企業はサスティナビリティに真にコミットすることなく、環境に優しいように見せかけることができる。
このドキュメンタリーは、労働者や地域社会、環境に害を与えるようなやり方であっても、消費者が気持ちよく購入できるようにブランドがいかに印象操作をしているかを暴露している。

(4) より隠す
搾取的な労働、環境破壊、廃棄物管理問題など、企業がエシカルではないサプライチェーン慣行をどのように隠蔽しているかを明らかにしている。
この戦略により、消費者は購入の真のコストを知らないままである。

(5) よりコントロールする
AIが説明するように、従業員をコントロールすることから始まる。
企業は、従業員が自分たちの策略に沿うようにし、絶対的な支配を維持するためにその背景を厳守させる。
規定路線から外れる者は、疎外されるリスクがあり会社からは真実は二の次となるメッセージが発信される。