SHEINが主張する“サスティナビリティ”に惑わされないで
SHEINは常に話題に事欠かないブランドですが、その理由は良いことばかりではありません。
この大手ウルトラファストファッションブランドはIPO(新規株式公開:企業が新株の売り出しを行い株式市場に上場し、投資家を引きつけ資金を調達する)を準備していました。
しかし、SHEINがロンドンでの上場を試みた際、中国の規制当局によりその計画は却下されました。
その背景には、サプライチェーンの透明性への懸念や、新疆ウイグル自治区での強制労働の疑惑があり、政治的にセンシティブな問題となってます。
現在、同社は代わりに香港での上場を目指しています。
それと同時に、SHEINは2024年の輸送による二酸化炭素排出量が13.7%増加したことを認めました。
さらに、2023年の排出量についても数値を修正し、当初の報告より実際には18%高かったと発表しました。
SHEINの見せかけのエンパワーメント
SHEINの新しいウェブサイトの見出しには「SHEINがエンパワーメントされたサプライチェーンを信じる理由」と書かれています。
まるで、働く人々が力を持ち、健全な環境で働けるサプライチェーンを目指しているかのようで心に響くような言葉ですが、実際にはそのサプライチェーンで働く多くの人々は生活賃金すら受け取れていないのが現状です。
SHEINの実態はどれほど深刻か?
• ウルトラファストファッション
2008年創業のSHEINは、ファストファッションのスピードをさらに加速させました。
このブランドは底値で数千点の商品を一気に発売しますが、その大半は粗悪品です。
• 論争を巻き起こす
装飾品として販売された礼拝用マットや、卍(まんじ)マークのネックレスなど不快な商品。独立系デザイナーの模倣を繰り返し、予算に制限のある若い女性を狙った操作的なマーケティングなど議論を巻き起こしています。
• 不透明なサプライチェーン
これまでほとんど情報開示されておらず、IPOの圧力下でようやく「サステナビリティ」ページが作成されました。
Good On YouがSHEINのエシカル基準を「避けるべき」(5段階中1)と評価していますが、それは当然のことと言えるでしょう。
環境への影響:Not Good Enough(不十分)
• 過剰生産がビジネスモデルに組み込まれている
労働条件:Very Poor(非常に悪い)
• 生活賃金や安全な労働環境の証拠がない
動物福祉:Very Poor(非常に悪い)
• 依然として皮革、羊毛、羽毛、ダウン、エキゾチックヘアを使用している
トンネルの先の光?
世界最大のウルトラファストファッションブランドが突然エンパワーメントを語り出すのは、ファストフードチェーンが健康的な食事のパンフレットを発行するようなものです。
騙されてはいけません。
正直なところ、SHEINが問題解決の一端を担うことはほとんど期待していません。
それでも、SHEINでさえ今や透明性、エンパワーメント、サスティナビリティについて語らねばならないと感じているなら、消費者と政府の圧力が効いている証拠と言えるでしょう。
ですが、誤解はしないでおきましょう。
SHEINにとって根本的な問題を解決するより、マーケティングでグリーンウォッシュする方がはるかに安上がりで簡単なことなのです。
(参考までに、SHEINの年間マーケティング予算は数十億ドル規模と推定されている。)
私たちにできること
• 衣服の価値に対する考え方を変えよう。
今日のような安い価格で提供されているファッションは、道徳的で公正な世界では存在しえない。
• 買い物をすることでSHEINに一票を投じるのをやめよう。
彼らから購入することは、中国の貧しい労働者を支援することにはならない。株主をさらに豊かにし、人々、地球、動物を搾取するシステムを助長するだけ。
• 声を上げましょう。
SHEINを買う人のほとんどは世界を憎んでいるわけではありません。単にブランドの影響力に気づいていないだけです。あなたの知識を共有しましょう。
• 買う回数を減らし、修理を増やし、中古品を購入しましょう。
• エシカルさと品質を基盤としたブランドを支援し、終わりのない消費を推進するブランドは避けましょう