GAPが教えてくれるファッション業界の失敗
20年以上前、GAPは綿混紡のニット生地を使用したカラフルなストライプ柄のコレクションを販売していました。
そして2026年、そのデザインを復刻させました。
20年以上にわたり、気候変動やプラスチック汚染、ファッションが環境に与える影響について警告が発せられてきたことを考えれば、GAPはより良い製造方法を見出しているはずだと想像しますよね。
しかし、現実はその逆でした。
綿混紡糸を編んでストライプ柄を作っていた昔の方法と違い、新しい商品は100%バージンポリエステルの生地にストライプ柄をプリントし他だけのものになっているのです。
なぜ、そうなってしまったのでしょう?
その理由はわかりません。
しかし、GAPが20年以上にわたり、サステナビリティについて語ってきたのにもかかわらずこのようなことが起きたことは確かです。
さかのぼれば2007年の時点で、GAPは環境戦略の一環として、環境に優しい綿やサステナブルなデザインについて発信してきました。
今日では、ネットゼロや循環型経済、カーボンフットプリントの低い繊維の選択について語っています。
20年もの間、大手ファッションがサステナビリティについて語り続けてきたにもかかわらず、どういうわけか私たちは未だに後退しているのです。
これは、あるブランドの1つのコレクションに関する小さな話に聞こえるかもしれません。
ですが、まさにそれこそが問題なのかもしれません。
私たちは、巨大なファッション企業が大量の安価な服を生産することにすっかり慣れてしまっているので、綿混紡の素材をプリント加工されたバージンポリエステルに置き換えても、もはや衝撃的にさえ感じられなくなっています。
ブランド側はサステナビリティや循環型経済、環境負荷の削減について際限なく語っている一方で、大量の服を作り続けています。
そして、私たち消費者はそれを買い続けているのです。
私がGAPに興味を感じるのは、SHEINやTemuとは違うイメージがあるからです。
日本では、GAPは親しみやすく人気のあるアメリカブランドです。
大人が着ているのを見かけますし、子供たちがGAPの服を着ている姿も至る所で見かけます。
ウルトラファストファッションの使い捨ての世界とは違い、手頃な価格で入手しやすくもクラシックなアメリカのイメージを纏っています。
しかし、そのイメージの裏側を覗いてみると、その違いは決して心地よいものではありません。
GAPは数十年にわたり、甚大な問題をもたらす世界的なファッションシステムの一部であり続けました。
親しみやすい家族向けのイメージの陰で、環境への影響や合成素材の使用、そして労働環境の問題など、GAPが抱える問題はもっと追求されるべきです。
その巨大な規模と資金力を、ファッションをよりサステナブルな未来へと導くために活用するどころか、今回の復活劇ではむしろ逆の方向へと進んでいるように見えます。

GAPは紛れもなくファストファッション
まず、これだけははっきりさせておきたいことは、GAPはファストファッションであるということです。
そして、その事業規模はとてつもなく巨大です。
GAP単体でも昨年の売上高は35億ドル(約5,200億円)に達し、オールド・ネイビー、バナナ・リパブリック、アスレタも傘下に持つ親会社「GAP Inc.」の売上高は154億ドル(約2.3兆円)にものぼります。
グループ全体では約35カ国に約3,500店舗を展開しており、日本にはGAPの店舗が100店以上あります。
GAPには、ファッション業界を変革する力となる程の資金力、規模、影響力があります。
それにもかかわらず、創業から50年以上が経過した今もなお議論されているのは、大量生産と消費、大幅な値引き、合成繊維の使用、そして服を作っている人々に生活賃金が支払われているのかという懸念ばかりです。
これは、大手ファッション企業が私たちに約束してきた「サステナブルな未来」とは言えません。
ファッション業界の大手は期待を裏切っているのか
悔しいのは、GAPだけが例外ではないということです。
これは、大きな問題のほんの一例に過ぎません。
世界大手のファッション企業は、長年にわたりサステナビリティへの取り組みを約束してきた。
「ネットゼロ」「循環型経済」「責任ある素材の使用」「再生可能エネルギー」「科学的根拠に基づく気候目標」といった約束を私たちは耳にしてきました。
しかし、現実に目を向けて見ると、その進捗は約束された内容には到底及んでいません。
ファッション評価サイト「Good On You」が5,821のファッションブランドを分析したところ、温室効果ガス排出削減目標を掲げている大手ブランドの88%が、目標達成に向けて軌道に乗っているかどうかを開示していなかったことがわかりました。
そして、最も衝撃的だったのは次の点です。
Good On Youが分析した中で、「収益性の高いファッションブランド上位40社」のうち、最高レベルの環境評価を獲得したブランドは1社もなかったのです。
これら企業は、変革のための資金確保に苦労しているような小規模な企業ではありません。
ファッション業界で最も裕福で、最も影響力のある企業の一部です。
彼らは莫大な購買力があり、サプライヤーに対して大きな影響力を持ち、真にサステナブルな独立系ブランドが夢見るだけのリソースを持っています。
もしこれらの企業が、服の作り方を本当に変えたいと望むなら、それを実現する力があるはずです。それなのに、なぜ彼らはそうしないのでしょうか?

問題はビジネスモデルにある
直視したくない現実ですが、本当にサステナブルな企業になることは、こうした企業の収益モデルと相反する可能性があります。
大手ファッション業界は「成長」を前提に成り立っています。
より多くの製品、より多くのコレクション、より多くの店舗、そして最終的にはより多くの服をうることが目的です。
投資家は企業の成長を期待しており、成功が売上高と利益の増加で測られる世界では、生産量を減らすというメッセージを受け入れてもらうのは難しいことです。
ブランドは、リサイクル素材の使用を増やし、包装を削減し、再生可能エネルギーに切り替え、工場の効率化を図ることができます。
これらはすべて素晴らしい取り組みです。
しかし、もし年々より多くの服を生産し続ければ、こうした環境面での成果の一部、もしくはすべてが台無しになってしまう可能性があります。
これこそが、大手ファッション業界の核心にある矛盾です。
企業は環境への負荷を減らすと約束している一方で、そのビジネスモデルはもっとたくさんの服を販売できるように追求する状況へと追い込まれているのです。
また、「既存のビジネスによる環境負荷をわずかに軽減すること」と、「真にサステナブルなファッションシステムを作り上げること」の間には、大きな違いがあります。
真の変革とは、より長持ちする服を作り、より良い素材を使用し、労働者に公正な賃金を支払い、廃棄物を削減し、そして最終的には、そもそもこれほど多くの服を生産する必要があるのかという根本的な問いを投げかけることを意味します。
小規模なエシカルブランドにとっては、こうした考え方を創業当初からビジネスに組み込むことができます。
しかし、膨大な量の服を販売して数十億を稼ぐグローバル企業にとって、真の変革とは、その成功の礎となったビジネスモデルそのものに挑むことなのかもしれません。
小規模なブランドが示す別の道
大手ファッション企業の進歩の遅さは、受け入れ難いものに感じられます。
サステナビリティの分野で最も興味深い取り組みを行っているブランドのいくつかは、GAPのような大企業に比べ、資金や影響力が小さいところもあります。
私たちEthical Connectionsは、サステナビリティを事業の基盤に組み込もうとしている小規模なブランドと一緒に活動しています。
彼らはオーガニック素材やリサイクル素材を使用し、少量生産を行い、トレーサビリティの向上、廃棄物の削減、循環型生産を模索し、服を作る人々が公正に扱われるよう努めています。
このようにより良い方法を実践することは、多くの場合コストがかかり、複雑で、規模を拡大するのもずっと難しくなります。
しかし、それこそがまさに重要な点なのです。
限られたリソースしか持たない小規模なブランドでさえ、より良い服作りの方法を見つけられるのであれば、世界最大の企業であれば、はるかに多くのことができるはずです。
GAP絶大な購買力があり、サプライヤーとの確固たる関係性、新技術へのアクセス、そして年間数十億ドル(数千億円)の売上高もあります。
大手ファッション企業に欠けているのは、変化を起こすためのリソースではありません。
足りないのは、根本的な変化を「魅力的な選択肢」にするビジネスモデルなのです。
それが変わるまで、小規模なブランドが、真にサステナブルなファッションとはどういうものなのかを業界の巨人たちに示し続けていくでしょう。

問題の一因は私たち消費者
GAPやその他の大手ファッションブランドを非難するのは簡単ですが、これらの企業は孤立した環境で事業を行っているわけではありません。
私たちが買い続けるからこそ、彼らは生産量を増やし続けているのです。
消費者は口々に「サステナビリティを重視している」と言いますが、実際にお金を使う段階になると、価格、利便性、スタイルが勝ってしまいます。
ブランド側もそれをよくわかっています。
それに、ほとんどの消費者が、新コレクションのうち何パーセントがバージンポリエステルでできているか、工場労働者が生活賃金を得ているか、あるいは気候変動対策の目標が実際に達成されているかなどを確認していないことも知っています。
だからこそ、大手ファッション企業には並外れた自由度があるのです。
企業のウェブサイトにはサステナビリティ目標が目立つように掲載されていても、何百万人もの顧客は、その企業が目標に向けて有意義な進展を遂げているかどうかを知ることなく買い物を続けています。
これが、説明責任が重要な理由です。
すべての人がサプライチェーンの専門家になる必要も、Tシャツ1枚を調べるのに何時間も費やす必要もありません。
しかし、数十億ドルの資金力と数十年の経験を持ち、私たちの服の製造方法に多大な影響力を持つ企業に対しては、もっと期待を高める必要があります。
GAPは、私がこの記事を書いたからといって変わるわけではありません。
改善しないことが、これまで通りのやり方を続けることよりもビジネスにとって大きな損害となるようになったとき、初めて変わるのです。
現時点では、まだその地点に近づいているとは到底思えません。
完璧であることを求めているわけでも、大手ファッションブランドで二度と買い物をしてはいけないと言っているわけでもありません。
ただ、「誰にお金を払うのか」をもう少し気を配ってほしいと願っているだけです。
私たちが何かを買うたびに、私たちはそれを作った企業を応援していることになるということを知っておいて欲しいと願います。
ファッション業界の他ブランドについてもっと詳しく知りたい方はコチラ
>避けるべきファッションブランドTOP10
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>エシカルファッションに大きな衝撃!「SHEIN」が1号店を日本にオープン
【出典】
https://www.retaildive.com/news/gap-makes-fine-mesh-happy-stripe-remake-backlash/824879/
https://goodonyou.eco/fashion-climate-inaction/
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