2026年も有害化学物質の問題は続く?

2026年にもなれば、衣類に有害化学物質が混入するという長年の問題がさすがに解決されると思いたいものです。

長年にわたって世間の注目を浴び、規制も強化され、ブランドも改善に取り組んできました。

ほとんどの消費者はこの問題が完全に過去のものとなっていると期待しているでしょう。

しかし現実はそうではありません。

2025年末に発表されたグリーンピースの報告によると、この問題は依然として深刻な状態が続いています。

Sheinで販売されている製品の独立検査では、子供用コート、合成皮革バッグ、靴、プリントTシャツ、防水衣類などの商品から、有害化学物質が何度も検出されました。

多くの人は、これは過去の問題だ、何年も前に議論済みのことだ、ブランドは既に解決済みだ、と思い込んでいます。

しかしこの問題の認知が広がり、何度も改善が約束されてきたにもかかわらず、実際にはほとんど何も変わっていないのです。

もう解決済みだと思っていたのに?

ここ数年、ファッションブランドは化学物質の安全性について大きく改善することを約束をしてきました。

Sheinは化学物質検査の拡大、制限物質リストの厳格な運用、サプライヤー監視の強化、EU化学規制に沿った製品を生産すると公表してきました。

消費者は最悪の時代は終わった、規制が追いついた、業界も学んだはずと聞かされてきました。

しかし最近の調査結果は全く別の現実を示しています。

同じ化学物質が依然として検出されている

2025年末に実施された独立検査で、ファストファッション製品から再び有害化学物質が検出されました。

しかも、わずかな残留物やや基準値ぎりぎりのケースではありません。

複数の製品で、化学物質の含有量がEUの法定安全基準を大幅に上回っていました。

一部の衣類では、PFAS(有機フッ素化合物)の含有量が許容値の3,000倍以上、特定のフタル酸エステルは基準値の100倍以上も超過していました。

検出された化学物質は、どれも聞き覚えのあるものばかりです。

PFAS、フタル酸エステル、重金属、ホルムアルデヒドなど過去にも問題になっていた物質が検査結果に現れました。

これらの物質はホルモン攪乱、生殖機能障害、環境残留性、長期的な健康リスクと関連付けられてきました。

これらは決して新しい問題ではありません。

これらは数年前に深刻な懸念を引き起こし、段階的廃止または厳格な管理が予定されていたのと同じ化学物質なのです。

なぜ2026年になってもこの問題が続いているのか

これはもはや「知らなかった」で済まされる問題ではありません。

ブランドはこれらの化学物質が有害であることを十分認識しています。

規制当局もその存在を理解しており、規制値や禁止措置、取り締まりについて何年も議論を重ねてきました。

つまり、情報が不足しているわけではありません。

不足しているのは管理です。

ウルトラファストファッションは、数千もの工場、下請け業者、素材サプライヤーからなる巨大で断片化したサプライチェーンに依存しています。

生産は常にスピード最優先で、デザインは次々と新しくなり、容赦ないコスト削減の圧力は絶えません。

このようなシステムでは、化学物質の適切な管理は極めて困難となります。

複雑さが増すにつれ監視は弱まり、責任はサプライヤーの層に埋もれてしまうのです。

行き着く先は、結局この2つしかありません。

1つは、システムが複雑すぎて適切に管理できないということ。

もう1つは、スピードを落として問題を解決しようという努力が不十分であるということ。

実際には、この両方が当てはまっているのかもしれません。

安全よりスピードが優先され、配慮より量産が重視され、予防するよりも後から公的に謝罪を行う。

こうした優先順位が変わらない限り、安全でない製品を安価に大量生産・販売され続ける構造は変わらないでしょう。

そしてこの構造が続く限り、2026年になっても化学物質問題は繰り返し表面化し続けることでしょう。

これは一つのブランドだけのの問題ではありません

これまで大手ブランドの化学物質問題について書いてきました。

その議論の中心になることが多いのはSheinですが、TemuLululemonも同じような懸念が指摘されています。

特定の企業だけを特に悪いと非難しているわけではありません。

Sheinは、大きな問題を明確に示す最近の事例にすぎません。

これはシステム全体の問題です。

超高速な生産、低価格、大量販売、そして国境を越えた規制執行の弱さが相まって、化学物質リスクが発生しやすい環境を生み出しています。

オンラインプラットフォームは、規制当局が対応するよりも速いスピードで、安全でない製品を消費者に届け続けてしまっているのです。

政策は存在し、公約も発表されていますが、実際の取り締まりは遅れをとっています。

他の多くのブランドが同様の独立検査をしても基準をクリアできない可能性が高いと言えます。

サプライチェーン全体の完全な透明性、全ての工場の状態が把握され、製品ごとの原材料の厳格な管理がなければ、化学物質管理は極めて困難です。

スピードと大量生産を優先したシステムでは、真っ先に管理体制が崩壊する傾向にあるのです。

エシカルファッションが大切な理由

エシカルファッションが重要なのは、規制が追いつかない場面でも、消費者が選ぶ力を行使できるからです。

法律や検査、取り締まりがグローバルなサプライチェーンのスピードに追いつかない一方で、私たち個人は応援するブランドを選択する自由があります。

サプライチェーンの透明性に多額の投資を行い、素材選びを真剣に行なっている企業もあり、そうしたブランドこそ応援する価値があります。

ファッションにおける化学物質の問題は決して遠い話ではありません。

化学物質は直接肌に触れ、水系に流れ込み、衣服が廃棄された後も環境に残り続けます。

また子供たちが着用するケースも多いにも関わらず、製品に含まれる成分が明確に表示されていない場合がほとんどなのです。

だからこそ、より良いブランドを選ぶことは完璧を追求することではなく、可能な限り不必要な害を減らすための選択なのです。

問題はなぜ有害化学物質が出てくるのかではありません。その理由は既にわかっています。

私たちが真に問うべき課題は、なぜ私たちは今もなおそれを受け入れているのか?ということなのです。

 

【出典】 

https://www.greenpeace.org/static/planet4-eu-unit-stateless/2025/11/3ad070d9-20251114_shameonyoushein.pdf

https://www.anxiety.eco/p/toxic-chemicals-keep-showing-up-in-fast-fashion

 

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