ネットゼロVSカーボンニュートラル その違いは?

ネットゼロとカーボンニュートラルは似ていますが、同じではありません。

特にサスティナビリティがファッション業界でも注目される中、その違いを理解することはとても重要です。

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは、排出される炭素と同等の炭素の除去または相殺のバランスをとることを意味します。

必ずしも排出量を大幅に削減する必要はなく、排出量をオフセットしている限り、ブランドは通常通り事業を継続することができます。

ネットゼロ

ネットゼロはさらに進んだ考え方です。

バリューチェーン全体を通じて、二酸化炭素だけでなく、すべての温室効果ガス(GHG)排出量を可能な限り削減することが求められます。

本当に避けることのできない排出文分のみを森林吸収などで相殺し、実質ゼロになることを目指すものです。

ネットゼロの「ゼロ」はなぜ混乱を招くのか?

ネットゼロの「ゼロ」はプラスとマイナスの均衡が達成されていることを表します。

企業が排出する温室効果ガス「プラス」分と、除去または相殺される量「マイナス」分が釣り合っていることを示すものです。

その結果、全体の排出量は正味ゼロとなります。

ただし、排出量を100%オフセットすれば良いというカーボンオフセットの考え方ほど単純ではありません。

ネットゼロを達成するためには、まず事業活動、サプライチェーン、バリューチェーン全体で排出量を削減するためのあらゆる努力をしなければなりません。

大幅な削減の後に初めて、森林再生や炭素回収などの検証済みのプログラムを通じて、残りの避けられない排出量を相殺することができるのです。

これが、ネットゼロとカーボンニュートラルとの違いです。

ファッションブランドはネットゼロにできる?

ファッションは地球上で最も環境負荷のある産業のひとつです。

現実的にすべての排出をゼロにすることは可能なのでしょうか?

消費者がサスティナブルな選択肢を求める中、ブランドは気候変動目標に沿うようますますプレッシャーをかけられています。

カーボンニュートラルを達成するために、ブランドは製造や輸送による排出量を計算し、森林再生や再生可能エネルギーへの取り組みによってその総量を相殺することができるかもしれません。

しかし、さらに一歩進んでネットゼロを目指すには、次のような行動をとる必要があります。

工場での再生可能エネルギーへの移行
リサイクル素材の使用
輸送の最適化
脱炭酸が難しい部分の残余排出量のみ相殺。

これらを実現するのは、カーボンニュートラル実現よりもはるかに大変なことです。

ファッション業界でゼロエミッションが不可能な理由

ファッション業界でゼロエミッションを達成することは現実的ではありません。では、どのような課題があるのかをみていきましょう。

1. 原材料の生産
綿花の栽培やポリエステルのような合成繊維の製造には多大な資源とエネルギーを必要とする。

2. グローバル化したサプライチェーン
素材や製品を世界中に輸送することは、大きなカーボンフットプリントを残します。

3. エネルギー集約型プロセス
染色、洗濯、布地処理には多大なエネルギーと水を消費し、排出量の一因となる。

4. 廃棄物と過剰生産
ファストファッションモデルは、過剰在庫、埋立地行き廃棄物、不必要な排出をもたらす。

これらの理由から、ファッションにおけるネットゼロは、希望と現実のバランスをとらなければなりません。

つまり、避けられない排出を相殺しつつ、可能な限り削減することが必要です。

ブランドは本当に努力している?

一部のブランドは、意味のある努力をしないままにサスティナビリティを主張しており、グリーンウォッシュが蔓延しています。

根本的な原因に取り組むことなく、排出量を相殺することで「カーボンニュートラル」を主張している場合もあるでしょう。

また、再生ポリエステルの使用などの小さな改善を強調する一方で、より広範なサプライチェーンにおける排出量を無視している事例もあります。

>グリーンウォッシュについて詳しくはこちら
グリーンウォシュに要注意!2023年エシカルな消費者であるために

削減とオフセットの境界線は曖昧すぎる?

どの排出量が本当に削減不可能でありオフセットされるべきなのかどのように判断すればよいのでしょうか。

明確な基準がないので、これを理解し監視するのは難しいことです。

また、ブランドが排出量を十分に削減し、ネットゼロの称号を本当に獲得したかを判断することもまた難しいのです。

明確なベンチマークがなければ、排出量の削減や回避に取り組む代わりに、オフセットに過度に依存するブランドもあるでしょう。

真のネットゼロへの取り組みは、オフセットに頼る前に、サプライチェーン、原材料、エネルギー使用など、バリューチェーン全体にわたる大幅な削減が必要です。

それは透明性が鍵となります。

ブランドは、削減量とオフセット量を開示し、オフセットが本当に避けることのできない排出量にのみ適用されるようにしなければなりません。

そうでなければ、意味のある行動とグリーンウォッシュの境界線は曖昧なままです。

では、どのような場合にオフセットが適切なのでしょうか。

オフセットは削減を補完するものであって、削減を代替するものではありません。

以下のような場合はオフセットが適していると言えるでしょう。

輸送など、回避が困難な排出。
-  森林再生、再生可能エネルギー、炭素回収などの検証済みプロジェクト。

消費者は何を確認し、何を求め、何をすべきか?

消費者はブランドについて「削減量とオフセット量を開示しているか?」

「実行していることの進捗と課題について透明性があるか?」について知る必要があります。

また、消費者は以下のような内容に注意する必要があります。

1. 合成繊維
化石燃料から作られる合成繊維は、環境にマイクロプラスチックを放出する。
ネットゼロを目指すブランドは、この問題に取り組むはずです。

2. ファストファッションのサイクル
頻繁に新作を発表し続けることは、過剰生産と無駄を助長するため真のネットゼロの取り組みとは相容れない。

私たち消費者はブランドが説明責任を果たすために、これらのような重要な役割を担っています。

1. 透明性を求める
削減量とオフセットの誠実な報告を求める。

 2. 意欲的なブランドを支持する
排出量削減を優先するブランドを選ぶ

 3. 思慮深い選択をする
過剰消費を抑えるために、丈夫で汎用性のある商品を購入する

エシカルファッションブランドのキャップの埋め方

エシカルブランドがこうした課題に取り組むために実践していることををご紹介します。

- リサイクル素材の使用
バージン資源への依存を減らす

- 循環型デザイン
 修理や再利用プログラムを通じて衣服のライフサイクルを延長する。

- 透明性
改善が必要な分野を含め、サステナビリティ実現への道のりについて率直であること。

- 再生可能エネルギーへの転換
 太陽光や風力による工場への電力供給。

- 低環境負荷の染料
 化学薬品と水の使用量を削減する。

- 耐久性と修理性
 耐久性と修理性:衣料品を長持ちさせ、修理できるようにデザインする。

私たちのブランドはネットゼロorカーボンニュートラ

エシカルコネクションズのブランドのサステナビルな取り組みをいくつかご紹介します。

- MUD Jeans
リサイクル素材とオーガニック素材を使用し、循環型の原則に基づいて資源の使用を削減。
MUD ジーンズについて詳しくはこちら

- Elvis & Kresse
プロダクトライフサイクルに重点を置き、生産から修理まで製品の寿命を延ばす。
Elvis & Kresseについて詳しくはこちら

- Duffle & Co
検証されたプログラムによって必要な場合のみオフセットしており、透明性が高い。
Duffle & Co
について詳しくはこちら

これらのブランドは、完全なネット・ゼロはまだ達成できていないとしても、持続可能な未来への有意義な一歩をすでに踏み出しています。

ファッションで本当にネットゼロを達成できる?

今日すぐに達成できることははないでしょうが、あらゆる努力をすることが重要です。

真の課題は、単に排出量を削減することではありません。

何が達成可能なのか誠実に向き合い、継続的な改善に努めることが大切なのです。

あなたが応援するブランドについて、批判的に考えてみてください。

ファッションが私たちを元気付けてくれるように、ファッションが地球にとっても優しいものになるよう、私たちの力でファッション業界の変革を押し進めていきましょう。

 

【出典】

https://plana.earth/academy/what-is-difference-between-carbon-neutral-net-zero-climate-positive

 

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