なぜ日本はエシカルファッションが浸透しない?
ファッション業界は、単にスタイルや創造性を表現するだけのものではありません。
社会的価値観や先進的なムーブメントを反映するものなのです。
最近では、サスティナビリティや公正な労働、環境へ配慮に取り組むエシカルファッションへのシフトが世界的に進んでいます。
しかし、日本ではこうした取り組みはとてもゆっくりと慎重に取り入れられてきました。
世界市場VS日本市場
世界的に、エシカルファッション市場は急成長しています。
エシカルファッション市場は、2017年以降年平均成長率(CAGR)6.5%で成長し、2022年には75億ドル近くに達しました。
エシカル消費に関する消費者の意識の高まりに後押しされ、2027年には110億ドル、2032年には160億ドル以上にさらに成長すると予想されています。
しかし、世界的な状況とは対照的に日本のエシカルファッション分野は初期段階にあるのです。
「エシカル」や「サステナブル」といった言葉は、欧米市場ではすでに聞き慣れた言葉であり、消費者に深く浸透しています。
一方、日本ではこれらの言葉へはまだまだ浸透しているとは言えません。
文化的・経済的課題
日本では、エシカルファッションの急速な普及を妨げる様々なハードルがあります。
日本のバイヤーはとてもコストに対して敏感です。
なので、公正な賃金の支払いやサスティナブルな素材を使用したエシカルに生産された衣料品はどうしても価格が上がってしまうため、日本のバイヤーにとって魅力的に映らないのです。
また、日本の消費者は、多くのエシカルファッションブランドが提唱する永続的でタイムレスな魅力よりも、目新しい最新のトレンドを好む傾向があります。
エシカルファッションの先駆者たち
対照的に、デンマークやスウェーデンはエシカルファッションのムーブメントの牽引しています。
コペンハーゲン・ファッション・サミットのような取り組みや、Dedicatedのようなブランドがファッション業界を良い方向へ導いています。
イギリスやアメリカも、エシカル・ファッション・フォーラムのような組織やTerra Threadのようなブランドが、消費者参加や政策提言を通じて業界の改革を促しています。
これらの国々は、デザイナー、企業、政策立案者、そして消費者の協力的によって、エシカルファッションが主流へと変化した成功例です。
例えば、エシカル・コンシューマリズム・レポートによると、「エシカルファッション」を認知している日本の消費者はわずか19%であり、イギリスやアメリカなどでは人口の半数以上が認知していることと比較するとその差は歴然としています。
日本のエシカルファッションの道のり
日本のエシカルファッション普及は、意識の向上、教育、そして国内外ブランド間のコラボレーションの促進にかかっています。
職人技の伝統が深く根付いている日本は、サスティナブルな慣習を今一度実践するための強力な基盤があるはずです。
日本では昔から文化的に、オープンな議論を好まない傾向がありますが、それはエシカルの観点でも同じことが言えるでしょう。
こうしたためらいがエシカルファッションの浸透を遅らせてきた側面もあります。
欧米ではセレブリティ達がサステナビリティの魅力を大きく押し上げているのとは対照的です。
日本のファッション産業が世界のエシカルファッションシーンに大きな影響を与えるためには、この変化を受け入れ、より多くの著名人に発言してもらうことも大切な要素となりうるでしょう。
課題はあるにせよ、最近見られる認識の変化は、日本がエシカルファッションの状況を国内外ともに大きく向上させる道筋を示しています。
【出典】
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