ピンクウォッシングとは?
「ピンクウォッシング」は、「グリーンウォッシング 」に倣った言葉です。
グリーンウォッシングとは環境に対する責任を誇張したり、虚偽の主張をしたりすることを指します。
それ対しピンクウォッシングは、企業がLGBTQ+の権利を尊重し、配慮しているふりをながら実際には何の貢献もなく、マーケティングに利用することをさします。
特に、世界各地でLGBTQ+の権利を啓発する活動・イベントが実施される毎年6月の「プライド月間」に多く見られます。
近年、プライド月間は多くのブランドにとって利益を生むものなっているのです。
安価なレインボーTシャツから派手なキャンペーンまで、特にファストファッションなどの企業はこのマーケティングチャンスに飛びつきました。
しかし、多くの場合、支援のように見えるのはマーケティング戦略に過ぎません。
このような企業はLGBTQ+の権利のために立ち上がっているのではなく、手っ取り早く儲けられると考えているにすぎません。
ファストファッションの「プライド」問題
ファストファッションとプライド月間との関係は特に問題です。
SHEINやH&Mのようなブランドは、何百種類ものポリエステル製レインボーウェアを発表しており、その多くは2,000円以下で売られています。
これらのブランドの多くは、服を作っている人々に生活賃金を支払っていません。
ある調査では、プライド月間に合わせたコレクションを販売するファストファッションブランドで、労働者に公正な賃金を支払っているところはひとつありませんでした。
しかも、劣悪な労働環境だけでなく、環境への悪影響もあります。
プライドウェアのほとんどは、安価で過剰生産され、埋め立て地で分解されるのに何世紀もかかるプラスチックベースの素材であるポリエステルで作られているのです。
ピンクウォッシングはこれらのようなエシカル面の深刻な問題から目をそらすものです。
企業は何も変えていないにも関わらず、ピンクウォッシングによって進歩的であるかのように見せかけているのです。
レインボーのスローガンやソーシャルメディアへの投稿は、衣服の製造方法やLGBTQ+コミュニティの表現方法の両方において、搾取的な慣行を覆い隠すものです。
これは製品を売るためのパフォーマンスであって、変化を促すものではありません。
ファストファッションvsプライドの価値観
もともとの「プライド」とは抗議であり、差別や不正義に対して抵抗するものです。
ファストファッションブランドの行為は本当の意味から遠くかけ離れています。
ファストファッションの“レインボー”は、その精神を利益のために用いており、クィア(性的マイノリティや、既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称)のクリエイターや独立系メーカー、草の根グループにはほとんど利益をもたらしていません。
2025年「ピンクハッシング」が到来
しかし2025年、何かが変わりました。
レインボーのロゴが消え始めたのです。
マーケティングキャンペーンは静かになり、「ピンクハッシング」という新しい言葉が話題になりました。
ピンクハッシングとは、企業が批判を避けるために環境保護活動について語るのをやめるグリーンハッシングから派生したものです。
ピンクハッシングも同様の流れで、企業がLGBTQ+の権利に関することを語るのを止める動きがあるのです。
目立つだけで中途半端な支援をするのをやめ、今やブランドは完全に沈黙しています。
今年、企業トップの40%近くが、公的なプライドへの取り組みを縮小すると答え、増やすと答えた企業は皆無でした。
ブランドによっては、ウェブサイトからLGBTQ+に関する記述を削除したり、寄付金を削減したり、レインボーをテーマにした商品の発売を取りやめたケースもあります。
これは、反感や反LGBTQ+団体からの圧力を恐れての静かな後退です。
どのような問題が表面化したのか?
ピンクハッシングによって明らかになったのは、企業による当初のサポートは決して深いものではなかったということです。
物事が難しくなると、ブランドは手を引いたのです。
ピンクウォッシングもピンクハッシングも同じ問題を露呈しています。
条件付きの表面的なサポートは、都合が悪くなるとすぐに消えてしまうのです。
真のプライド支援とは
ただの見せかけではない、本当の意味での支援とはどのようなものでしょうか?
それは、LGBTQ+による、エシカルなブランドを選び購入することです。
それは、公正な賃金を支払い、サプライチェーンの人々を大切にする企業を支援することにつながります。
プライド月間の6月だけでなく、一年中、クィアの声に耳を傾け作品を選択すること。
それは、プライドを単なる販売機会として扱うことではありません。
プライドは単なるマーケティングキャンペーンではありません。
闘争、コミュニティ、そして希望に根ざした運動なのです。
もしブランドがその一部になりたいのであれば、レインボーのロゴだけでなく、誠実さを示す必要があるでしょう。
【出典】
https://goodonyou.eco/fast-fashion-pinkwashing-pride/
https://goodonyou.eco/what-is-pinkhushing/