ファストファッションの危険性を示す3つのTEDとサスティナブルファッションの解決策
今回は、ファッション産業が地球や労働者、そして私たちの個人的な選択にどのような影響を与えているかについて、ユニークな洞察をしているTEDのスピーチを3つ紹介します。
これらは、ファストファッションの危険性とサスティナブルなファッションが提供する解決策の両方を示すものです。
Maxine Bédat:安価なファッションの高いコスト
私たちの服はどこから来ているのだろう?という永遠の疑問。
このパワフルなTEDスピーチでは、サステナブルブランドZadyの創設者であるマキシン・ベダが、ファッション業界の隠れたコストを暴露しました。
それは価格のことだけではありません。
公害、搾取、そして私たち全員が役割を担っている壊れたシステムについてです。
1. ファッションの隠れたフットプリント
ベダは、ファッションが地球上で最も汚染された産業のひとつであることを明らかにしました。
世界の温室効果ガス排出量の最大10%を占め、淡水汚染の原因でも上位にランクされているのです。
こうした影響は、低価格、目まぐるしく変わるトレンド、洗練されたマーケティング・キャンペーンの陰に隠れて、気がつかれないことが多いです。
安価なTシャツやコート、ジーンズの1本1本が、私たちの目に触れることのない環境コストを背負っているのです。
2. 私たちは「物のピーク」に達したのか?
2016年、一部の専門家は、人々が量より質を選ぶようになる文化的な変化、「物のピーク」に達したことを示唆しました。
しかし、データは依然として違うことを物語っています。
1960年代、平均的なアメリカ人は年間25着の衣類を購入し、収入の10%以上を費やしていました。
2016年までに、その数は年間70着に急増し、一方で衣料品の支出は所得のわずか3%にまで減少しました。
私たちは安い価格でより多く購入し、その代償を品質、エシカル面、環境面への悪影響といった別のところで支払っているのです。
3. 地方衣料産業の崩壊
1960年代、アメリカで着用されていた衣料品の95%は国産でした。
ところが今日では、その数は2%以下です。
日本も同様の傾向にあり、1980年代には50%だった国内生産量は、近年ではわずか3.2%にまで落ち込んでいます。
この転換により、米国アパレル産業の雇用が80%以上が失われ、地域の技術や安定性、経済的安定も失われました。
それはまた、服を作る人々と私たち生産者を切り離し、生産者が搾取されている状況を無視しやすいものにしたのです。
4. ポリエステルの台頭と現実
かつては綿が繊維生産の大半を占めていましたが、2000年代初頭にはポリエステルが躍進しました。
2020年までに、ポリエステルは全繊維生産量の50%以上を占め、コットンは24%に減少しました。
それはなぜでしょう。
ポリエステルは安価で、生産が速く、便利です。しかしこれらのような深いダメージを与えます。
- 化石燃料から作られる
- マイクロプラスチックを海や川に流出させる
- エネルギー使用量は綿の2倍、麻の3倍
- ファッションは淡水汚染産業第2位
- これまでに作られたすべての服がそのまま残る
ポリエステルはスピードと利益のためにつくられた素材であり、人間や地球のためにつくられた素材ではないのです。
このTEDトークは、なぜファストファッションがサスティナブルでないのかについて、18分間で力強く教えてくれています。
マキシン・ベダのメッセージは明快です。
私たちは、より良い服だけでなく、より良いシステムを求めなければなりません。
まずは疑問を持ち、買う量を減らし、賢く選ぶことから始めましょう。
ファッションの未来は私たちの手の中にあるのです。
>Maxine BédatのTED(英語のみ)
Patrick Woodyard :ファストファッションが人、地球、そしてあなたに与える影響
エシカルブランドNisoloの共同設立者であるパトリック・ウッドヤードは、人間第一のアプローチでファストファッションの隠れたコストを明らかにしました。
彼のスピーチでは、これまでのシステムがいかに搾取を覆い隠しているか、そして消費者は自分たちの力でより良いものを求めることができることを説いています。
1. 安い服が実際には安くない理由
1990年代半ば以降、ほとんどの消費財の価格は70%近く上昇しましたが、衣料品の価格は6%下落しました。
その 「お買い得感 」は、低賃金労働者、環境保護の手抜き、脆弱なサプライチェーンといった高い代償を伴うものです。
実際、世界の衣料品労働者の98%は生活賃金を得られていません。
本当の代償は値札にはなく、そのの外側にあるのです。
2. 消費の危機
現在のアメリカ人は、1990年代初頭に比べて500%も多くの衣類を購入しています。
- アメリカでは、1人当たり年間30kgの衣類が捨てられている。
- 世界全体で約20億kgの繊維廃棄物ほとんどが埋立地に捨てられるか、輸出される。
3. 実際には誰が対価をもらっているのか?
衣料品の小売価格のわずか1~3%しか、それを作った人たちには支払われません。
「生活賃金を確保するために、1~3%多く支払いますか?」というウッドヤードの問いかけに米国の消費者の91%が、価格と品質が同じなら「はい」と答えています。
この小さな変化は、業界のあり方を変えるかもしれません。
4. 利益が人的犠牲を伴う必要はない
ウッドヤードは、エシカルなビジネスは不可能ではなく、利益をもたらすものだと主張します。
Nisoloのようなブランドは、公正さとサスティナビリティが経済的成功とともに存在しうることを証明しています。
変化は私たちから始まります。
すべてのお買い物は、私たちが望む世界のあり方への投票なのです。
パトリック・ウッドヤードの講演は、ファストファッションが環境危機なだけではなく、人間的危機であることを思い出させてくれるものです。
誰かの人生を変えるために、1~3%高いお金を払って見ませんか?
それは広い視野で見ると負担ではないのではないでしょうか。
Tamara Jones:服に隠された人々との絆について語る
タマラ・ジョーンズは、ファストファッションの議題に個人的で内省的な視点をもたらします。
統計や数字の代わりに、彼女は人間関係、知名度、そして私たち個人がどのように選択をすることができるかに焦点を当てています。
1. ファッションのグローバルな広がり
地球上の100人に1人がファッション業界で働いています。
この業界システムは、経済、地域社会、生態系など、世界のほぼ隅々にまで関わります。
ファッションはニッチな産業ではありません。グローバルであり、重要な産業なのです。
2. 疎外感が搾取を助長する
私たちは服を作っている人たちから遠く切り離されてしまっています。
それぞれの商品の背後にある人の手が見えないと、私たち消費者は不正を受け入れやすくなります。
ジョーンズはこれを「疎外」と表現しています。
社会的距離のせいで、システムは壊れたままなのです。
3. グリーンウォッシングに引っかからないで
ジョーンズはグリーンウォッシングの多さに注目しています。
ブランドは、非エシカルな慣行から目をそらすために、感じの良いバズワードを使っているのです。
こうした曖昧な主張は、断絶を助長します。
私たち消費者の気分は良くなるものの何も良い変化が起こっていないのです。
グリーンウォッシングについて詳しくはこちら
>グリーンウォッシュVS真のサスティナビリティ
4. 購入前に一度立ち止まろう
彼女の最後のメッセージはシンプルです。
買う前にちょっと待ってください。
それがどこから来たのか尋ねてください。
それは何からできているのか?
本当に必要なのか?
マインドフルなファッションとは、完璧を目指すものではなく、一つひとつの選択に注意を払うことなのです。
タマラ・ジョーンズは、エシカルファッションについて、地に足のついた人間的な視点を提供しています。
彼女のTEDトークは、私たちが身につけるものの背後にいる人々とのつながりを取り戻し、ゆっくりと見つめ直そうという呼びかけです。
小さなことから始めましょう。
意識することから始めましょう。
そして、買う前にちょっとだけ時間をかけて。
これら3つのTED Talksは目新しいものではないかもしれませんが、そのメッセージはこれまで以上に的確なものです。
汚染、搾取、過剰消費、断絶など、彼らが直面している問題は、いまだにファッション業界に深く埋め込まレテいます。
そして今なお、人々が立ち上がり、声を上げ、変化を起こすことを必要としています。
私たちは、これらのスピーチが消費者の認識を高め、行動を起こす原動力となることを願っています。
制度改革を求めるマクシーンの緊急の呼びかけ、低価格を再考するパトリックの挑戦、そしてつながりを取り戻し、心を込めて消費するよう促すタマラの呼びかけ。
そのどれをとっても、私たちエシカル・コネクションが深く信じていることと呼応しています。
これらのスピーチが、一人でも多くの方がエシカルファッションを意識し、興味を持ち、取り組む一助になることを願います。
それこそが正しい方向への一となるのです。
【出典】
https://www.youtube.com/watch?v=5r8V4QWwxf0&ab_channel=TEDxTalks
https://www.youtube.com/watch?v=mPM9lhackHw&ab_channel=TEDxTalks
https://www.youtube.com/watchv=VwGLPMTYPZY&ab_channel=TEDxTalks
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