エシカルファッションに大きな衝撃!「SHEIN」が1号店を日本にオープン

2022年11月13日、中国発の世界的なファストファッションブランド「SHEIN」が世界初の常設リアル店舗を日本にオープンしました。

エシカルファッションにとって大きな衝撃であり、日本でエシカルファッションが浸透する日は来るのだろうか…という懸念が生まれました。

 SHEINはなぜ世界初の出店先に日本を選んだのでしょう?
そして、なぜ日本は他の国より良い買物をすることに遅れをとっているのでしょう?

画像引用:https://insideretail.asia/2022/11/01/shein-chooses-tokyo-for-its-first-permanent-store-in-the-world/

SHIENは2012年以来、アメリカでNo.1ファストファッションブランドの地位を築いています。

この5年間で、ユーザー数は6倍の4370万人、売上は10倍の157億ドルに達しました。

数字を大局的に見ると、ファストファッションのライバルであるH&MとZaraを合わせた1000億ドルよりも評価額が高く、これは世界の民間企業で3番目に高い額なのです。

SHEINが成し遂げたことはすごいですが、そこには犠牲が伴います。

彼らの運営は透明性が全くなく、この急激な成長の影には暗い真実が隠されているのです。

SHEINは数々の論争を巻き起こし、エシカルやサスティナブルの実践について「最悪中の最悪」と言われています。

SHEINは製造過程で全く環境負荷に配慮しておらず、品質にも疑問が残る製品を驚くほど安く提供しています。

そしてソーシャルメディアを積極的に活用したマーケティングを行い、ファストファッションの使い捨て文化を悪化させていったのです。

彼らは現代の奴隷制度とも思える制度を作り出し、労働法に違反し、小さなファッションレーベルのデザインを盗用した疑惑もあるのです。

労働者が残した「助けて」という文字がラベルに書かれた状態で市場に出回ったという話さえあります。

報道によると、労働者は年収約82,000円で、1日最大18時間、月に1日しか休めないような労働を強いられているそうです。

しかも、ミスがあれば日給の3/4を失うというのです。

なぜこのようなブランドが成功できたのでしょう?
なぜ消費者はすべての論争に目をつぶってきたのでしょうか?
なぜ世界で初めて実店舗を構えたのが日本だったのでしょう…??

SHEINの成功は、前例のないほどのデジタールマーケティングとテクノロジーによるものです。

TikTokなどを活用し、多くのインフルエンサーをこれまでにないレベルで巻き込んでいきました。

インフルエンサーに服を「プレゼント」し、その見返りとしてインフルエンサーが商品を紹介するのです。ほとんどの場合、この「取引」は商品代金と送料だけで行われます。

つまり、SHEINは考えられないくらい安い広告料で、世界数百カ国の何万人ものインフルエンサーが商品を宣伝するという見返りを受け取るのです。

画像引用:https://www.nssmag.com/en/fashion/29542/shein-haul

このように危険なマイクロトレンドを生み出している企業はSHEINだけではありませんが、彼らの規模はこれまでにない程大きいものです。

マーケティング戦術を駆使して、毎日最大6,000もの新商品を送り出しています。

ウェブサイトには無料配送やポイントシステムなど数えきれない程のオファーが掲載されており、消費者が必要としていなかった服でさえもどんどん購入するよう後押ししています。

このサイトのアルゴリズムはとても良くできていて、あなたが気づく前にあなたの欲しいものを彼らが知っていることが多いのです。

需要に応えるために、信じられない程安い価格で使い捨てとも言える一回しか着ないような洋服を生産しています。

SHEINの商品は、長く着用したり洗濯したりできるように作られていないため、古着市場で再販することはできません。

素材もリサイクルできないものが多いため、このブランドは地球が対応できないほどの速さで廃棄物を生み出しているのです。

画像引用:https://www.businessoffashion.com/news/retail/report-shein-violating-labour-laws/

この20年間、世界で生産される衣類の数は倍増し、年間1,500億着以上にもなっています。

私たち一人ひとりの「毎シーズンたくさんの服を買わなくちゃ!」という意識は全くサスティナブルではなく、それが気候変動を急速に加速させているのです。

気候変動による気象パターンの変化は、第三世界の国で人々の命を奪うほど深刻です。先進国の私たちが毎日新しい服を着るために底値で買うがために…

もし、SHEINがアメリカやヨーロッパに出店していたらどのような世間の反応だったのだろうかと考えてしまいます。

彼らも反対意見に気がついているはずなので、日本の方がマーケットを試すのに簡単だったのでしょう。

東京でもエシカルファッションが一般的に知られるようになってきましたが、その認知度は他の欧米諸国と比べるとまだまだ低いです。

残念ながら、私たちの消費行動が地球規模で破滅的な結果を招いていることを気にしていない、あるいは理解していない消費者がまだまだたくさんいるのが現実です。

SHEINは、自分が宣伝するアイテムがどのように作られているかを全く気にしない多くの若いインフルエンサーを利用することで成功しました。

そして、たくさんの消費者が300円のTシャツの利便性を捨てないからこそ普及したのでしょう。たとえ、支援するべきではない不道徳なシステムの一部であると理解しているとしても…

個人的には、選択することはとても簡単です。自分が信じることができない服は買わないということだけです。

ファッションとは何なのか自分自身に問うことが大切です。

私自身はファッションとは使い捨ての安いものではないと思っていますし、そうなってはいけないと考えています。

ファッションは私たちの表現の形でもあります。

着ているものによって何かを表現し、ストーリーを語ることができると私は信じています。

これからは、愛着を感じてもっとポジティブなストーリーを語れるような、そして、たまにしか買う必要がないような美しいアイテムをみんなが見つけられるようになればいいなと思います。

持っていること、着ることを誇りに思えるような服を。

 

もっと知りたい方はこちらも視聴してみてください。
https://www.channel4.com/programmes/inside-the-shein-machine-untold

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※ イギリス拠点のIPアドレスのみ視聴可能、英語配信のみ

【出典】

https://www.just-style.com/news/shein-reportedly-opening-first-physical-store-in-tokyo/#:~:text=According%20to%20Reuters%20citing%20confirmation,brand%20with%20a%20physical%20presence

https://www.businessofapps.com/data/shein-statistics/

https://theharrispoll.com/briefs/shein-americas-number-1-fast-fashion-brand-continues-to-rise/

https://en.wikipedia.org/wiki/Shein_(company)

https://goodonyou.eco/how-ethical-is-shein/

https://www.elle.com.au/fashion/why-is-shein-so-bad-27846

https://twyg.co.za/why-are-people-buying-shein/

https://www.thewalkmag.com/2022/04/shein-and-she-out-microtrends-at-a-glance/