リサイクルポリエステルは本当にサスティナブル?

SHEINのようなファストファッションブランドでさえ、リサイクルポリエステルを使用することで「サスティナブル」あるいは「環境に配慮した」コレクションを発表しています。

しかし、別の合成素材に切り替えただけでは、ファストファッションの根深い問題を解決することにはなりません。

どういうことなのか詳しく見ていきましょう。

ファッションにおけるポリエステルとは?

世界の繊維市場の52%を占めるポリエステルは、ファストファッションでよく使われている素材です。

ポリエステルは耐久性に優れ、ブランドにとって費用対効果が高い反面、生分解しないという大きな欠点があります。

廃棄されたポリエステルの衣服は何十年、何百年と埋立地に残り続けるのです。

そもそも再生不可能な石油を原料としていることも忘れてはなりません。

新しいトレンド!?リサイクルポリエステルとは?

こうした環境への影響を改善しようと、Textile Exchange (テキスタイル・エクスチェンジ)による「2025リサイクル・ポリエステル・チャレンジ」のような取り組みが登場しました。

多くのファストファッションブランドがリサイクルポリエステルの使用を公言し、「サスティナブル」なコレクションの目玉としています。

リサイクル神話

多くの方がリサイクルポリエステルは古着から作られると信じているのではないでしょうか。
ですが、実際には違います。

ほとんどの衣料品は数種類の素材が複雑に組み合わさっているので、リサイクルが難しいのです。

2020年には、再生ポリエステルの99%が衣料品からではなく、ペットボトルなどの古いプラスチックからリサイクルされています。

使い捨てのペットボトルなどが機械的にリサイクルされ、新しい糸に生まれ変わるのです。

これは環境に優しいように聞こえますが、問題点があります。

リサイクルポリエステルは一度作られると、無限にリサイクルできるわけではないので、その後埋立地行きになることが多いのです。

その原料となる使い捨てプラスチックが延々と生産され、使い続けられる可能性さえあるのです。

マイクロプラスチックの問題点

リサイクルされたものであってもなくても、合成繊維はマイクロプラスチックを放出します。

この小さな汚染物質は水生生態系に入り込み、海洋生物に有害な影響を与えます。

北極圏のマイクロプラスチック汚染の大部分は、ポリエステルに由来するという調査結果もあります。

より良い未来のために

リサイクル素材はそうでない素材に比べて環境への影響が少ないのは確かです。

しかし、ファストファッション業界が形だけリサイクルポリエステルを採用し、その一方で過剰生産に甘んじているのは、表面的にサスティナブルなふりをしているに過ぎません。

根本的な解決策の一つとして、古い衣服を新しい繊維に変えるTextile-to-textile(テキスタイル・トゥ・テキスタイル)リサイクルがあります。

テキスタイル・トゥ・テキスタイル・リサイクルって?

Textile-to-textileリサイクルとは、古くなった衣服を新しい衣服に生まれ変わらせるものです。

生地の品質を維持もしくは向上させて循環させることを目的としています。

従来のリサイクルは、元の繊維製品よりも価値の低い製品になってしまうことがほとんどでした。

しかし、この方法はファッション製品として継続的に使用されることをめざすものです。

混合素材や繊維の劣化などの課題はありますが、技術の進歩によって今後解決されるはずです。

Worn Again TechnologiesやサーキュラーファッションブランドMUD Jeansの革新的な技術は、課題は残るものの、テキスタイル・トゥ・テキスタイル・リサイクルをどんどん実現していくことでしょう。

時代をリードするMUD Jeans

MUD Jeansはファッション業界におけるサスティナブルな革新を先導しています。

このブランドのリサイクル工程は、古いデニム繊維をオーガニックコットンと統合して新しい衣服を生産するもので、テキスタイル・トゥ・テキスタイル・リサイクルを実現しています。

この方法は、水や化学薬品の使用量を減らし、さらには環境保護にも繋がります。

従来のシステムからの脱却を目指して

リサイクルポリエステルを使うだけでは、ファストファッションの過剰生産のジレンマを解消することはできません。

消費者としては、リサイクルポリエステルはサスティナブルな解決策のように見えるかもしれませんね。

確かにリサイクルされていないポリエステルよりはましかもしれません。

ですが、完全にサスティナブルだと騙されてはいけません。

私たち消費者がそれを買うことは、この時代に直面している廃棄物問題を軽減するために最低限のことしかしていないことになるのです。

ファッションのサスティナビリティに対する真の解決策は、取る・作る・捨てる・という直線的な仕組みから業界全体が脱却することなのです。


【出典】
https://goodonyou.eco/recycled-polyester-fast-fashion/

https://textileexchange.org/2025-recycled-polyester-challenge/

https://wornagain.co.uk/