ファッションの隠れた「水」問題
エシカルファッションといえば、多くの人が思い浮かべるのは、労働者の権利や動物福祉、ゴミの問題、二酸化炭素排出量などではないでしょうか。
「水」について考える人は少ないことでしょう。
水は服作りに欠かせない資源の一つです。
コットンなどの繊維栽培、生地の製造、染色、そして仕上げ工程に至るまで、あらゆる工程で水は使用されています。
ファッション業界と水との関係は複雑であり、残念ながら、必ずしも良い影響ばかりではありません。
私たちエシカルコネクションでは、「People人」「Animals動物」「Ocean海」「Land土地」「Air空気」という5つの主要な基準を用いてブランドを評価しています。
ここに「水」という項目はありませんが、実は多くのカテゴリーに関係し、重要な役割を果たしています。
水の使い方は、土地の健康、海洋の状態、そしてファッションのサプライチェーン全体に関わる人々の暮らしに影響を与えます。
ファッション生産のあらゆる段階に水が関連しているからこそ、ファッションが水に与える影響を理解することは、エシカルファッション全体をより深く理解する上でとても大切なのです。

ファッション業界が抱える水問題①:消費量
衣類を染色、縫製、梱包し、お店に並ぶまでには、まず原材料が作られなければなりません。
多くの天然繊維、特に従来の綿花は、栽培に多量の水が必要です。
水不足に悩む地域では、灌漑によって河川、湖、地下水にさらに大きな負担がかかってしまいます。
世界中で衣料品の需要が増加するにつれ、淡水資源への需要も高まっています。
ファストファッションは、「環境へのコスト」が隠され、低価格で消費者にたくさんの服を買うように促すため、この傾向を加速させています。
製造工程全体でも水は欠かせません。
繊維は、生地になる前に、洗浄、加工、水洗い、処理、準備が行われます。
そして原材料から完成品になり店頭に並ぶまでに、大量の水が消費されているのです。
この問題は、私たちの「For the Land(土地)」カテゴリーに関連します。
健全な生態系は、健全な水の循環があってこそ成り立ちます。
水資源が過剰に使用されると、その影響は周りの環境全体に広がり、農業、生物多様性、そして地域社会に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
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ファッション業界が抱える水問題②:汚染
水をたくさん使うことは問題ですが、水を汚染することもまた問題です。
染色や仕上げの工程は、服の生産過程の中で最も環境負荷の高い部分の一つです。
多くの染料や化学処理には大量の水が必要であり、過去には、一部のメーカーが汚染された排水を河川や水路に放流していたこともあります。
その影響はとても大きく、深刻なものです。
汚染された水は生態系を破壊し、野生生物に害を与え、水質を悪化させ、近くで暮らす人々の地域社会に影響を及ぼします。
世界の一部の地域では、川の色がその時の流行色によって変わるほど、工場排水が問題になっている地域もあります。
多くの地域で規制や排水処理は改善されてきましたが、それでも世界の繊維産業全体にはまだ課題が残っています。
この問題は、私たちの「Ocean海」カテゴリーと直接関連しています。
川の水は大きな水路へ、そして最終的に海へと流れ込んでいきます。
上流で発生した汚染が、その場にとどまることはほとんどありません。
また、ファッションが水の環境に与える影響は、服が工場を出た後も続きます。
ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維は、洗濯をするときに微細なプラスチック繊維を放出することがあります。
これらのマイクロプラスチックは、下水処理システムをすり抜けて河川、湖、海へと流れ込み、環境中に長く残り続けてしまいます。
なぜ「人」が大切なのか
環境問題は、統計や生態系の観点から議論されがちですが、あらゆる環境問題の核心にあるのは「人」です。
汚染された水域の近くに住む人々は、健康リスクに直面する可能性があります。
繊維産業のサプライチェーンで働く人々は、製造工程で使用される化学物質にさらされる恐れがあります。
そして、繊維を育てる農家の人々は、需要の増加によって水資源へのプレッシャーが高まる中で、厳しい状況に置かれることもあります。
消費者でさえも、この問題と無関係ではありません。
きれいな水は贅沢品ではありません。それは生きるために欠かせないものです。
だからこそ、水は「People人」のカテゴリーに含まれるのです。
エシカルファッションとは、究極的には、人間の幸福と環境の健全さの両方を大切にする仕組みを作ることなのです。

ファストファッションはあらゆる問題を悪化させる
ファッション業界が抱える水資源の問題は、過剰消費と深く結びついています。
衣服の生産量が増えれば増えるほど、より多くの水が必要となる。
衣服の生産量が増えれば増えるほど、染色や仕上げの工程も増える。
衣服の生産量が増えれば増えるほど、汚染や廃棄物のリスクも高まる。
多くの衣類は、ほんの数回着られただけで捨てられてしまいます。
その結果、寿命が短い製品を作るために、膨大な量の水が消費され、汚染されるという悪循環が生まれているのです。
ファストファッションによって、衣服はかつてないほど安価になり、使い捨てされやすく、簡単に買い替えるようになり、世界中の水資源に大きな負担がかかっています。

より良い未来のためにできること
幸いなことに、解決策は存在します。
ブランドは、再生繊維の使用、環境負荷の低い素材の選定、生産効率の向上、そしてよりクリーンな製造技術への投資をすることで、水の使用量を減らすことができます。
また、より良い排水処理によって汚染を減らすことができ、染色・仕上げ方法を見直すことで化学物質による悪影響を軽減できます。
さらに、循環型モデルを導入することで、新しい資源の使用量を減らすことが可能になるのです。
いくつかのブランドは、すでにウォーターフットプリントを削減するために革新的な技術を取り入れています。
例えば、MUD Jeansは、オゾンウォッシュやe-Flowといった技術を採用しています。
これらは仕上げ工程で使う水や化学薬品の使用量を削減することができます。
これらの技術により、従来の方法よりも少ない資源で、デニム特有の風合いや見た目を実現することができます。
一方、消費者もまた重要な役割を果たしています。
購入する服の数を減らし、より高品質なものを選ぶこと。
服をすぐに買い替えるのではなく、修理すること。
透明性と環境責任を重視するブランドを支持すること。
長く愛用できる時代を超えたアイテムを選ぶこと。
ひとつひとつは小さな行動に感じるかもしれませんが、積み重ねることで地球の水資源にかかる負担を減らすことができるのです。
>MUD Jeansについて、チュニジアの工場を訪問した際のレポートはこちら
MUD Jeansとチュニジアを訪ねて

水はすべてをつないでいる
エシカルコネクションズでは、「People人」「Animals動物」「Ocean海」「Land土地」「Air空気」の5つの視点を大切にしています。
「水」というカテゴリーはありませんが、水はすべてのカテゴリーをつないでいます。
ファッション業界には水に関する課題がありますが、それと同時にチャンスも潜んでいます。
私たちの服の裏側にある、目に見えない「水」のストーリーを知ることで、消費者として良い選択ができ、人にも地球にも優しいファッション業界をつくる後押しすることができるのです。
水を守るということは、単に一つの資源を守ること以上の意味を持っています。
それは、命を支える相互に結びついた仕組みを守ることなのです。
【出典】
https://goodonyou.eco/fashions-water-impacts/
https://goodonyou.eco/textile-dyes-pollution/
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